2016年1月8日の『another sky』では、指揮者の佐渡裕さんがオーストリア・ウィーンを紹介してくださいました。
現在、活躍の拠点をウィーンに移した佐渡さんですが、25年前に3年ほど暮らした事がある思い出の土地でもありました。
ヨーロッパでも有名な管弦楽団をまとめる指揮者の仕事を、佐渡さんはどう感じてらっしゃるのでしょうか。
今回は、佐渡裕さんのウィーンでの生活に至るまでと、番組内で使われていたBGMについてまとめてみたいと思います。
佐渡裕さんについて
佐渡さんの基本情報
佐渡裕さんは1961年京都府出身、現在54歳です。
音大ではフルートを専攻されていたそうで、指揮者になる勉強は完全独学からスタートしたそうです。
指揮科っていう学科が音大にはあるので、独学って相当すごい事だと思います!!(ドラマにもなった「のだめカンタービレ」の千秋先輩もピアノ科でしたっけ…)
1987年にアメリカで行われたタングルウッド音楽祭に参加をした後、日本のみならず世界を代表する指揮者小澤征爾氏や、ミュージカル『ウエスト・サイド物語』の曲で有名な、レナード・バーンスタイン氏に師事し、ヨーロッパ中の管弦楽団で指揮者としての経験を積んできたそうです。
また、これまでに数々のコンクールに出場したり音楽賞を受賞されてきました。
- 1989年:ブザンソン(フランス)国際指揮者コンクール優勝
- 1991年:出光音楽賞受賞
- 1995年:レナード・バーンスタイン国際指揮者コンクール優勝
- 2003年:渡邊暁雄音楽基金音楽賞受賞
- 2011年:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演で指揮
- 2014年:岩谷時子賞受賞
佐渡さんは、2015年9月からウィーンのトーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督に就任し移住していますが、日本では文京シビックホールを拠点に活動しているシエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者を務めたり、兵庫県立芸術文化センター芸術監督も務めています。
バーンスタインとの出会い
ヘルベルト・フォン・カラヤンと並ぶ世界的な指揮者、バーンスタインの最後の弟子として迎えられた佐渡さん。
最初はニューヨークで勉強をしたかったそうですが、バーンスタインがウィーンで行うツアーのアシスタントとして選ばれたため、ウィーンに行くことになったとか。この時、佐渡さん27歳でした。
初めての海外、単身ウィーンでの修行が始まりましたが、当時ドイツ語が全くできなかったそうで、誰も見向きもしてくれなかったそうです。
バーンスタインがウィーンに訪れると一緒に着いて行き、楽団の練習を聴いては音のチェックをしたり、楽譜の解釈を見て学んだりして、指揮者とはどうあるべきかを学んだとおっしゃっていました。
また、ツアーがない時は仕事もないため、夜になるとオペラ座や楽友協会ホールで行われるコンサートの立ち見席を買い、毎日毎日劇場に足を運んで演奏を聴いて学んでいたそうです。
ブザンソンでの快挙
1989年に行われた、ブザンソン国際指揮者コンクールに参加した時のこと。
実際、7分ほど管弦楽団の指揮をして「間違い探し」をするのが課題だったそうです。
一通り問題点を見つけ時間も残っていたため、是正した演奏をさせてもらったところ、最後の音の重なりに違和感を感じた佐渡さん。
30近くの楽器が重なりあう音の中で、クラリネットとオーボエの第2奏者の音が入れ替わって奏でられていた事を聴き当て、会場中は大きな喝采が鳴り響いたそうです。
バイオリンとクラリネットの音くらい違いがある音色ならまだしも、クラリネットとオーボエの音って、一見違いがわかりづらかったりするので、これはほんっとにすごい事です!!!
ウィーンの地で、毎日一流の音楽を聴き続けたからこその”耳”が養ったんですね!
辻井伸行さんとの絆
ピアニストの辻井伸行さんとの出会いは、辻井さんが13歳の時。
彼の奏でるピアノの音色に感動し、自然と涙が溢れたと以前何かの本で読んだことがあります。
演奏家としての先輩・後輩としてではなく、お互い一演奏家として尊敬し合える仲間だと、佐渡さんはおっしゃっていました。
トーンキュンストラー管弦楽団に就任されて間もなく、辻井さんをウィーンに招待し、プロコフィエフ作曲「ピアノ協奏曲第3番」を楽友協会ホールにて一緒に演奏されました。
関連記事:ピアニスト辻井伸行さんがアナザースカイで訪れたベルリン!
佐渡裕さんのアナザースカイはウィーン!
Tonkünstler Orchester(トーンキュンストラー管弦楽団)
現在、佐渡さんが音楽監督をされている、ウィーンを代表する管弦楽団。
古典派と呼ばれる、ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンの楽曲から、シューベルトとブラームスといったロマン派、近現代にわたる楽曲まで演奏されています。
上記写真は、グラフェネック城。トーンキュンストラー管弦楽団の本拠地の一つで、ここで演奏練習やレコーディングをしたり、音楽祭ができるように野外音楽場が設けられています。
ヨーロッパの中でも「音楽の都」と称されるほど、たくさんの音楽家たちが巣立ってきた街ウィーンで、日本人指揮者を迎えてくれたことは、楽団にとっても大きなチャレンジだったと思うとおっしゃる佐渡さん。
歴史があるクラシック音楽を後世に伝え続けるためには、聴衆を飽きさせない明確な変化も大切だと言い、日々試行錯誤しているそうです。
クラシック音楽ってジャズとは違い、曲そのものをアレンジ(編曲やアドリブ)をすることはできません。
でも譜面の解釈だけを変化させればいいわけではなく、演奏家との関係がとても大切だとおっしゃっていました。
「オーケストラの良いところを引き出してくれ、この人なら楽団を変えてくれる!」
音楽と向き合って進化した人だけが、楽団の前に立ってタクトを振る事を許される。それが指揮者の仕事なんだと感じました!
楽友協会ホール(Wiener Musikverein)
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の本拠地で、「世界一の音響」を持つ、音楽家なら誰でも一度は必ず演奏したいと憧れるホールです。
ブラームス(19世紀)の時代からあって、その時代の作曲家たちは、このホールでの演奏を考えて、音を作ったとも言われています。
特に「黄金のホール」と呼ばれる大ホールは、かつて佐渡さんも立ち見席を取るために毎晩訪れていた場所であり、今は首席指揮者として活躍をする場所です。
*学友協会ホール
- 所在地:1010, Musikvereinspl. 1, 1010 Wien, Austria
- HP:https://www.musikverein.at
オーストリアのホットドック・スタンド(Bitzinger’s sausage stand at Albertina)
ウィーン一(いち)美味しいと評される、ソーセージが食べられる売店、ヴィッツィンガー(Bitzinger)。
佐渡さんも若い頃、立ち見席を確保したら、このお店でソーセージを頬張ってお腹を満たしていたとおっしゃっていましたね!
よく知るホットドックは、真ん中が切られた長めのパンにソーセージが挟まっているけれど、ここのは、バケットの中をくり抜いたところにケチャップやマスタード、チーズなどと一緒に大きめのソーセージを入れたもの。
お店を囲むように立ち飲みしている人に混じって、ウィーンのB級グルメ(って言っても味は結構本格的です!)を食べてみてください!
*Bitzinger’s sausage stand at Albertina
- 住所:Albertinaplatz, 1010 Wien, Austria
佐渡裕さんのアナザースカイbgm・使用曲/2016年1月8日放送
- Alabama Shakes:Don’t Wanna Fight
- The Album Leaf : Celebration
- Alison Krauss:You will be my ain true love
- RHODES:Breathe
- 「美しく青きドナウ」作品314 / ヨハンシュトラウス2世
- Alicia Keys : No One
まとめ

佐渡さんにとって音楽とは、歴史も国境も越えて、全てが共振してひとつになった時に感じるものだとおっしゃっていました。
25年前に修行時代を過ごしたウィーンで、今のようなポジションに就いていられるのは、いい出逢いがあったからこそ、全てはここに繋がっていたんだと思えると、そう振り返っていました。
ウィーンは美しいものが多いから、今でも夢の中にいるような気分になるそうです。
でも、その「美しいもの」を目指す陰には、ウィーンの人たちの”人間くさい”地味な部分も知っていて、その積み上げが「美しいもの」を作り続けているんだ、そういう街なんだと、ウィーンについて語ってらっしゃいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました♡
あなたの旅が素敵なものになりますように♡‥‥✈︎
次回1月15日の放送は、シンガーソングライターのmiwaさんがロサンゼルスへ!
▶︎シンガーソングライターmiwaさんがアナザースカイに出演!ロサンゼルスで訪れた場所とBGMのまとめ